口腔ケアについて

 口腔ケアとは、健康の保持増進、QOLの向上を目指し口腔清掃、歯石の除去、義歯の手入れなど 口腔の疾病予防・機能回復を図る目的で行います。

 また口腔ケアの必要性は、様々な身体的、精神的状況から発生し 歯垢や歯周病などの口腔疾患があるから口腔ケアが必要になるだけではなく 身体機能・精神機能の低下から 口腔機能の維持が困難になっていることを考慮することが必要なのです。

 高齢者に予防効果が期待されるものに誤嚥性肺炎があります。この場合の誤嚥とは、食物などの明らかな誤嚥ではなく、不顕性の誤嚥 ( silent aspiration )のことです。

  嚥下反射や咳反射の低下した老人は、睡眠中に不顕性の誤嚥をたびたび起こすことがあります。

 このとき唾液とともに口腔内の細菌も同時に誤嚥するため 誤嚥性肺炎を起こしやすいといわれています。

 この口腔内の細菌を減少させるためには、口腔ケアが大変ゆうこうです。そして口腔ケアによるQOLの向上とは、自分で好きな物をおいしく口から食べられることではないでしょうか。

 高齢者施設などの現場での口腔ケアの方法については、様々な方法が考えられます。対象とする人の病態は千差万別であり、それぞれのケースにおいての工夫が必要でしょう。

 常に念頭においておかなければならない事は、対象とする人は、虚弱であったり 感染性にかかりやすい人たちです。このため 置時の誤嚥を防ぐための配慮が必要であるということです。

 口腔ケアを受ける人たちは様々な状態の方々がいます。留意すべき点をそれぞれの場合に分けて次に述べていきす

1.寝たきりの人の口腔ケア

 寝たきりの人の口腔ケアは、とくに誤嚥に気をつける必要があります。 可能なら側臥位、不可能なら仰臥位で顔を横に向けてケアを行います。 できることなら自分で行い、無理なら介護人がブラッシングするようにします。

 介護者が行う場合は、舌根部や咽頭部を刺激すると 嘔吐反射を起こしやすいため注意する必要があります。
ガーグルベースンや吸引装置などの準備も必要です。

2.麻痺のある人の口腔ケア

 上半身を起こせない場合は、側臥位または、仰臥位で 顔を健側を下にして 横に向けます。また歯ブラシの柄も握りやすいものを選択するようにします。

 麻痺のある場合は、感覚障害を伴っている事が多く 麻痺側に食物残渣が残っていても気づかないため注意する必要があります。 また麻痺のある人の場合、嚥下反射・咳反射機能が低下しているため 誤嚥に対する注意が必要です。

3.認知症のある人の口腔ケア

 口腔ケアを習慣づけるには、実際に口腔ケアの後の爽快感を体験してもらうことが一番効果的です。 これは、認知症がある人の場合でもある程度可能です。

 無理にケアを行おうとすると その後のケアが難しくなります。歯磨きの時間を決めて生活の一部として口腔ケアを位置づけるのも効果的でしょう。

4.嚥下障害のある人の口腔ケア

 嚥下障害のある人の口腔内は、汚染が強く 常に誤嚥による肺炎の危険性が高いため 口腔ケアがとくに重要となります。 また 口腔内を刺激することにより 間接的な嚥下の訓練にもなります。

5.経管栄養を受けている人の口腔ケア

 経管栄養とは、口から食事ができないため鼻から胃までチューブを入れ 栄養分や水分を補給する方法です。 嚥下障害・意識障害がある場合、口腔内・食道内に異常がある場合などにこの方法がとられます。

 介護の対象になる場合は、ほとんど嚥下障害と意識障害の場合と思われます。 口から食事をしないために汚れがつかず、口腔ケアも必要ないとおもわれがちですが これは間違いです。 唾液の分泌量が低下するため、自浄作用が低下し 口腔内は、汚れやすくなり口臭もしやすくなります。

6.歯のない人の口腔lケア

 歯のない人に対しては、口腔粘膜や舌に対してのケアが必要になります。舌の清拭は、舌苔の予防にもなります。 また 義歯をしている人は、当然、義歯の清掃が重要になります。

7.部分入れ歯の人の口腔ケア

 部分入れ歯を入れている人の場合は、歯が飛び飛びに残っている場合が多く 1本1本ていねいに歯磨きをすることが必要です。とくに歯の内側や裏側は、汚れが残りやすいため注意が必要です。  当然ですが、はずした義歯の清掃も必要です。