食事介助

 食事介助とは、食事を口に運ぶ作業だけではなく 食後の口腔・咽頭内清掃、準備運動、安全で楽しい食事介助、食後の安全体位といった 一連の流れをすべて含むものです。

  必要なことは、関係者すべてに 摂食・嚥下障害の正しい知識を得てもらうことでは、ないかと思います。

食事介助の仕方

  食事介助とは、摂食介助だけのことを言っているのではありません。
まず 食事環境を整えて利用者の方の 食前、食事、食後に対して、必要なことを手伝わせていただくことが 食事介助なのです。

  環境については、清潔感があって 食欲を損うことのない場所作りをすること。そしてできれば 食事の時間は、利用者の希望に沿った時間を提供することです。介護福祉施設などで、利用者さんの希望時間に食事を出すようにしたところ今まで食事を残していた方が 残さず食べたとうことが実際にあります。

  食前には、静養されている利用者の方がいる場合は、食事直前に起こすことは、さけます。前もって声を掛けて もう少しで食事の準備が出来ることを伝えておき、体を起こして食事をする準備をしてもらうようにします。そして 出来るだけ食事は、きちんとテーブルでとるようにしましょう。こうすることで 寝る場所と食事の場所の区別をつけ、規則正しい自立した生活を目指すことができるのです。

  食事の始まるまえに 尿意・便意の感じるのが難しい方には、排泄誘導の声を掛ける、排泄介助の必要な方に対しては、排泄介助又は、オムツ交換をさせていただく。
 これは、環境づくりの一環であり、身体をなるべくすっきりさせて気持ちよく食事をしていただくために行います。

  食事前に 一度可能な場合には、うがいを行うことにより 口腔内の雑菌を洗い流し同時に口の中を湿らせて 誤嚥を防止したり それによる肺炎を予防します。
それから 食事前に 口腔体操や嚥下体操をしていただき、唾液の分泌を促したり 各食事動作を刺激して 自立による摂食や誤嚥予防を促します。そして最後に誤嚥を防ぐため 深く腰掛けるように姿勢を確認します。

  いざ 食事に関しては、献立をわかりやすく説明することも必要です。
食事の盛り付けにも気を配ること。当然のことですが食事中は、明るく楽しい雰囲気をこころがけ 適度な会話などにより楽しく演出します。

  そして食後には、できる範囲で 口腔内清拭を勧め、口腔内の清潔を保っていただけるように援助していきます。
食後の静養は、必要のある場合を除いて すぐに横にならないようにしていただきます。が横になる場合は、右側臥の姿勢になるか もしくは、ベットをギャッチアップして横になっていただきます。褥瘡部位がある場合は、看護師と相談しながら 姿勢を検討することが必要でしょう。
全般的に介助の必要な方への対応については、流れは、基本的に上に書いたものと同じように行います。

 

注意点

姿勢・覚醒・反応と摂食・咀嚼・嚥下
環境整備は、基本と変わらず 食前の排泄介助も行い、そのうえで介護度が高く ADLが低下している方ほど 口腔内が乾燥し 雑菌がたまりやすい傾向になっているので、食前にガーゼなどで 清拭をさせていただくことが望ましいでしょう。
食事中の姿勢は、利用者の方が楽な状態でかつ 顎を引いた誤嚥のしにくい姿勢であるということが必要となります。
できれば テーブルの高さ、椅子に座っていれば 椅子の高さを 調節して、足が宙に浮いていないようにしましょう。
ADLのかなりの低下がみられている方の場合は、食事中の覚醒を確認して促しながら介助を行っていきます。
食事に対する反応が低い場合(見当識障害など)も 同様にこえ掛けを行いながら介助を行っていきます。
食欲に対する反応が薄く いわゆる食欲がない場合では、利用者の方について いろいろなことが想定できるので 話を聞き、よく観察し、看護師と連携し対応していきます。
摂食介助は、だいたいは、スプーンでおこないますが 利用者の意思を確認しながら 食事を進めていき、一回をスプーン手前に小盛りにのせて 一回一回飲み込みを確認しながら 次を勧めることが大切です。
咀嚼と嚥下は、密接に関わっており かつ複雑なもののため、本人・家族はもちろんのこととなりますが ケアマネ、栄養士、看護師、介護職員が連携して 食事形態を提供していく必要があります。

食事介助をしていく上で
「食事介助」をする際のこつは、横に座り 同じ目線で介助することです。介助者も同じものを食べながら行うと 次に何を食べたいかを推測しやすく、食べるペースも上手くあわせられます。また箸やスプーンは、口の上側からでは、なく 下側から持っていくようにすることです。片麻痺のある場合は、口の中に食べ物がたまりやすい状態にあるので 一回に口へ入れる量を少なくしてみたり、麻痺のない側の口の端から入れてみるなどの工夫をしましょう。
食事現場でよく見られる状況としては、口の中に食べ物をどんどん詰め込まれて 患者さんがむせかえってしまうケースや 摂食機能レベルを無視した食事、介助者中心の食事ペースになっていることなどがあり 病院での訓練・指導が全く反映されていないことがあります。
「喉頭挙上を確認してから食事をお口に運んで下さい。」と助言していても 「この方は、口を開けません。」と 挙上の瞬間をねらって 口にスプーンをねじ込もうとする介助者の方、 経管栄養だからと口腔内清掃をされず 汚れたままになっている方などもいらっしゃいます。
介助者は、忙しく 食事以外の仕事に追われることもあるとは、思いますが 食事は、大きな楽しみの場であると同時に 誤嚥・窒息といった危険が待ち受けているかもしれない場でもあります。
介助者中心の食事ペースでは、楽しい食事の時間が 苦しみの時間になってしまいます。もしも自分がされたらどうだろうか?と考えて介助を行って欲しいと思います。
危険を防ぐためにも知識や注意が必要です。介助者の不足、全体のスケジュールなど 物理的に困難な条件の中できちんと対応すること自体、難しいことでは、ありますが 物と接しているのでは、なく 人と接していることを忘れないで下さい。