家族が介護するということ

 要介護者の介護者として最も望ましいのはだれなのか。これには一定の法則などないのですが、普通一般に考えて、家族が介護することがもっとも自然であることはいうまでもありません。しかし、そう考えた時、どのような条件の家族が介護をするのに適しているのでしょう。

  条件のひとつに、介護者が健康であることです。介護者が健康でなければ、日常の大変な介護に耐えられないことは言うまでもありません。二つに、介護者を助けてくれる家族が身近にいるということです。主な介護者は1人でよいと思うのですが、たった1人で介護することはとても大変なことで大きな負担です。

  いつでも気楽に介護を手伝い、交替してくれる家族が身近にいることが大切です。

  三つめに、介護する人とされる人との関係が以前からよい関係にあることが必要です。これは、大変重要なことで、介護者が「介護してあげたい」と思える関係が必要です。そうでなければ、耐えられるものではありません。

  四つめは、介護者が「介護の素質」があるか否かもあるのです。要介護者との関係がどんなに良くても、またどれほど世話をしたいと思っていても、介護の素質がなければどうにもならないのが現実です。

  介護は、たった1人でできるほど容易なものではありません。24時間目を離せない介護は、精神的にも肉体的にも負担が大きく、大変なことなのです。

  介護者のごく身近に遠慮なく普段の介護の手伝いを頼める人がいるかいないかで介護者の受ける負担は大きく変わります。配偶者が介護者の場合、海外での報告によれば、妻よりも夫のほうが、意外と介護破綻を来し難いのだそうです。

  妻の多くは、夫を介護するとき「自分がやるのが当然である」「自分でやらなければいけない」と大きな義務感を背負ってしまいがちで、「子どもに迷惑をかけたくない」「他人の目があるので手抜きできない」「自分が介護しなければ誰もしないだろう」など、さまざまな思いこみや義務感、責任感を背負って、介護を完璧にしようとします。

  そして、世間の人も妻が夫の面倒をみるのは当然であるかのように捉えてしまいがちです。その結果として、どんなに苦労をしてもいっこうに楽にならない介護に疲れ果て、破綻にいたります。

  その反面、夫が介護者であるときは、妻に付き添い、世話している姿に周囲が同情し、慣れない家事を行っている姿をみると、なにかを手伝わなければいけないのでは?手伝ったほうがいいのでは?という気持ちになるのだそうです。

  子どもたちは、できる限り時間をつくっては父親の介護に協力し、隣近所や友人たちも、その夫の手助けをするために、精神的にも肉体的にも協力を申し出たりするのです。

  また夫が妻を介護している姿は、子供たち、他の家族や隣人、友人にとって尊敬の対象にもなります。周囲からの援助や誉め言葉、励まし、尊敬のまなざしは、その夫の大きな励みになるのです。満足感を得ることの出来ない介護が難しいということなのかもしれません。

  介護するときに、「自分だけで何とかしなければいけない」との孤立した思いが強ければ強いほど、周囲はその介護者に対して、協力しづらく、また、できなくなります。

  介護者のなかには、周囲に遠慮し、手助けを断る人がいますが、その遠慮がかえって介護者の大きな負担につながってしまいます。

  1人ひとりの家族が介護を分担し、主な介護者の負担を軽減することが必要なのです。周りにも協力を頼むことは、困ったときに、近くの他人が大きな力になることもあります。そういったことからも、家族に限らず、隣近所、友人あるいは公的な介護サービスを利用して、介護負担をできる限り軽減する努力が介護者には必要です。

  自分の力を過信することがいちばん危険なのです。介護をして、自分が病気になってしまったら、全く意味のないことになり、結果として周囲に迷惑をかけることになるのです。

家族の介護によって使える制度

家族介護手当
地方によって差があるようですが、介護保険の恩恵を受けていない、家族が介護をしている要介護の人を見ている場合にもらえる手当金です。
住んでいる場所によって違うようですので自治体にお問い合わせ下さい。

仕事を休むなどして、介護する場合
家族が要介護状態になった場合、介護休業制度を利用することができます。
この制度を利用することによって、休業をしたことを理由とする解雇や、不利益な取扱いを防止する事ができます。休業終了予定日の2週間前までに事業主に申し出ることによって、 1度だけ期間を延長することもできます。

 このときに言う、要介護状態とは、負傷や疾病又は身体上若しくは精神上の障害によって、 2週間以上の期間常時介護を必要とする状態を言います。対象となる家族は、配偶者、(事実婚も含みます)、父母及び子、同居しそして扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫、配偶者の父母です。期間は対象家族1人につき、連続した通算93日までとなります。

  対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回の使用が可能です。その場合、2週間前までに、事業主に書面で提出して手続きをします。ただし日雇い、勤続1年未満、3か月以内に雇用関係が終了、 1週間の所定労働日数が2日以下の条件の人はこの制度を使うことはできません。