本人が望む介助

 介護を受ける人がどんな介護を受けたいのか、これは簡単なようで実は難しい問題です。現在国の方針で介護予防というのがありますこれは「介護を必要とする状態になることを未然に防ぐ」「今は介護が必要でも、できるだけ身体の機能を維持向上する」地域において、できる限りいきいきとした生活や人生を営む」とありますが、これを本人が望まなかったらどうでしょう。

  例えば60代の男性が脳梗塞で右半身マヒとなり、病院を退院して来たとします。彼が望む介助は、自分は右半身が悪いのだから、食事は動けないのだから全部ベッドで食べさせて欲しい、トイレも車椅子を使い、移乗はしっかり抱きかかえてもらい移動したい、お尻を拭くのもしてほしい。

  この人の望むようにするとどうなるでしょう。間違いなく灰用性症候群により、ADLがおちます。

  本当に介護を受ける人が望むことをするのだけがよいことではないのです。特に通所リハビリテーションにおいては、機能の維持向上を目指しています。しかし実際には様々な要望をもった方たちがきています。機能訓練の一つであるマッサージだけをOT、PTに望みしてもらうだけではADLの機能維持向上はのぞめません。さらに通所のときだけ、リハビリをしてもQOLが向上するわけではないのです。

  特に脳梗塞などの病気が原因の場合はその前まで、まったく介護の必要がなく生活できていたわけですから、気分も落ち込み、何事も頼りになることもあるでしょう。介護する側はだからといって、その要求をすべて聞くことは決してよいことではないのです。もちろん介護者が伴侶や子供であればなおさらです、何もできなくなれば介護者に負担がかかってくるのです、今はいいかもしれません、しかし介護している方も年をとっていくのです。いつまでも同じように介護できるわけではないのです。このことを踏まえ、介護を受ける方が、少しでも自立を望むように。介護していくことが必要といえます。

  しかしながら、逆に、少しでも介護者の負担を少なくしたい、また歩けるようになりたいなど、前向きな望みもあります。もちろんこれは悪いことではありません、しかしまったく下半身が動かない方が歩きたいから、立たせて、手を引っ張ってくれといっても不可能です。通所リハビリテーションに通所されている方の自宅での事故が多いのは、リハビリの効果があらわれて来た頃が一番多くみられます。これは自信が出てきたために、無理をして転倒するためです、このような時はとかく、介護者に声を掛けず一人で行動しようとしがちです、このようなときは特に介護者は見守りと声掛けにより注意を呼びかけ、必要なときにいつでも介助できるよう心がけが必要となります。

  自分は出来るのだ、がんばりたい、そういった意思を無くさないように、そして危険の無いように支えながら、やっていく中、本人の希望に沿うことだけが全て本人のためになることではないということです。